トーキョーナガレモノ

日本映画の旧作の感想。でもそのうち余計なことを書き出すだろう。

注意)本・DVDなどへのリンクはAmazonのアフィリンクです。ご了承下さい。過去記事一覧はこちらです。

日活の黄金期を彩った歌声

ゆく年くる年2015「貼り付け機能でプレゼントキャンペーン」

 

あとで買おうと思っている商品の備忘録代わりにAmazonウィッシュリストを使っているのだが、何年もウィッシュリストに残りっぱなしのものも少なくない。

 

その一つがこれ。2012年に日活の創立100周年を記念して作られた、映画主題歌のCD5枚組ボックスセットだ。 

日活100年101映画~娯楽映画の黄金時代~

日活100年101映画~娯楽映画の黄金時代~

 

 

戦前のディック・ミネから倒産直前の名作「八月の濡れた砂」(藤田敏八監督・1971年)まで、約40年分の映画音楽から101作品171曲をセレクトした貴重な音源集だ。ロマンポルノ時代の音源は含まれていないが、まあそれはいいだろう。

 

幅広い時代をカバーしていて、若かりし志村喬の歌声も、近年再評価が高い「月曜日のユカ」(中平康監督・1964年日活)のテーマ曲(主演の元祖小悪魔・加賀まりこの鼻唄バージョンで聞きたい人は「日活映画音楽集~監督シリーズ~中平康」をどうぞ)も入っているが、中心的なラインナップは戦後、日活の映画製作が再開した昭和20年代末から30年代を通しての日活黄金期を支えたスターの歌声だろう。小林旭「ギターを持った渡り鳥」、石原裕次郎「錆びたナイフ」、坂本九吉永小百合浜田光夫による「上を向いて歩こう」・・・まさにザ・昭和歌謡。全曲のラインナップはこちら

 

これらの、今の耳で聞けばある意味ではのどかな主題歌が、日活の武器だった。特に小林旭石原裕次郎は大抵の作品の冒頭のスタッフロールで自慢のノドを披露している。モダンな青春映画・アクション映画が人気作品だったことも主題歌のとの相乗効果を高めたのだろう。時代劇ではこうはいくまい。東映高倉健に「網走番外地」を歌わせるようになるにはまだ時代を下らねばならなかった。対抗馬になり得たのは「下町の太陽」(倍賞千恵子)の松竹ぐらいか。いずれにせよ、当時の映画ファンはアキラや裕次郎の歌を耳にした瞬間から作品世界に没入することができたのである。

 

主題歌の映画史という切り口があってもいい。その意味では廃盤になる前に手に入れておきたいCDである。