トーキョーナガレモノ

日本映画の旧作の感想。でもそのうち余計なことを書き出すだろう。

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喜劇

寅さん漬け

とっくに放送は終わっているんだが、録画しっぱなしで半年以上見ていなかったBSジャパン「土曜は寅さん!」を数日かけて12本まとめて見た。第24作「男はつらいよ 寅次郞春の夢」(山田洋次監督・1979年松竹)から第36作「男はつらいよ 柴又より愛をこめて」(同…

喜劇 特出しヒモ天国 (その2)

(承前) ター坊(下條アトム)は、A級京都に出前を届ける聾唖者の青年であった。まだ少年の面影を残すター坊には、しかし、やはり聾唖者の妻かおる(森崎由紀)がいた。 ある日ター坊はかおると共にA級京都で働かせて欲しいと昭平(山城新伍)に頼み込む。やむなく…

喜劇 特出しヒモ天国 (その1)

一が顔で二が持ち物(イチモツ)、三、四がなくて五が親切ーー。 これがストリッパー(業界用語で「タレント」)のヒモ(業界用語で「マネージャー」)稼業で生きていくコツだと、主人公・昭平は(山城新伍)はヒモ仲間から教えられる。女に寄生するヒモには、ルック…

吹けば飛ぶよな男だが

「「空気」の研究」などの日本人論で知られる評論家・山本七平に、こんな文章がある。これは山本の死後刊行されたエッセイ集「静かなる細き声」(1992)からのもの。 近頃はほとんど耳にしなくなったが、私が子供のころには「ヤソ」と言う一種独特の語感がする…

愛の讃歌

来年1月22日まで東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)で山田洋次監督の特集上映が開催されており、「男はつらいよ」シリーズのうち20作を含む54作品がラインナップされている。浅草名画座*1なき今となっては寅さんをスクリーンで見る貴重な機会になって…

大阪ど根性物語 どえらい奴

きのう、なぜ日本の起業家の生涯は映画にならないのかというエントリを書いた後で思い出したことがあった。 起業家の映画がポピュラーにならないのは、おそらく、事業を興して財をなす人が尊敬の対象にならない風土があるからだが、例外もある。浪速の商人(…