トーキョーナガレモノ

日本映画の旧作の感想。でもそのうち余計なことを書き出すだろう。

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2013-01-01から1年間の記事一覧

「左翼にあらずんば映画人にあらず」発言の背景

東京に住んでいるのでよく知らないが、自治体主催で長年開催されていた京都映画祭が、吉本興業のバックアップで「京都国際映画祭」と名を改めて2014年に開催されるそうだ。その準備委員会での俳優・津川雅彦のスピーチが話題になっていることを下記のブログ…

必殺!III 裏か表か

幕府と両替商組合の深い癒着に首を突っ込んだために、自分が属する南町奉行所から命を狙われる同心・中村主水(藤田まこと)の死闘を描く「必殺!III 裏か表か」(工藤栄一監督・1986年松竹)。 通常、「必殺仕事人」シリーズは闇の中の暗殺場面が見せ所だが、こ…

愛の讃歌

来年1月22日まで東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)で山田洋次監督の特集上映が開催されており、「男はつらいよ」シリーズのうち20作を含む54作品がラインナップされている。浅草名画座*1なき今となっては寅さんをスクリーンで見る貴重な機会になって…

女囚さそり けもの部屋

「女囚さそり けもの部屋」(伊藤俊也監督・1973年東映)は「さそり」の異名をもつ凄腕の殺人犯・松島ナミ(梶芽衣子)の逃亡劇を描くシリーズの3作目。「女囚さそり 第41雑居房」で脱走に成功したナミは警察に追われる身に。猟犬の如くナミを追う隻腕の刑事・権…

土曜は寅さん!(6): 男はつらいよ 純情篇(その2)

(承前) 夕子(若尾文子)はとらやまで迎えに来た夫と共に出直すことを決意し、柴又を去って行く。寅次郎もまた、振られたその日のうちに柴又駅のプラットホームに立つ。見送りきたさくらと、ベンチで電車を待っている。 さくら ねえお兄ちゃん、もうお正月も近…

土曜は寅さん!(6): 男はつらいよ 純情篇(その1)

寅次郎にはまわりくどい言い回しが通用しない。言葉を言葉通りに受け取る人である。 今ならちょっとお医者さんに診てもらいましょうということになるのかもしれないが、「男はつらいよ」の世界ではとらやのおいちゃん(森川信)の口癖「バカだねあいつは」で済…

土曜は寅さん!(5): 男はつらいよ 奮闘篇

春。まだ雪残る新潟の山間部・越後広瀬駅の待合室から「男はつらいよ」シリーズ第7作「男はつらいよ 奮闘篇」(山田洋次監督・1971年松竹)は始まる。 待合室では就職のため上京してゆく学生服姿の少年少女たちと、その母親たちがストーブの暖を取っている。そ…

サイドバーで投稿日時を指定しても即座に記事が公開される件

はてなブログの編集サイドバーで「編集オプション」をクリックすると、 投稿日時という項目がある。「記事の日時を編集できます。」という説明も用意されている。 なので、ここに記事を日付と時刻を入力して「公開する」をクリックする。だが記事は指定日時…

iPhoneのPassbookで飛行機に乗る

先週、所用で広島に行ってきた際、ANAの飛行機の搭乗手続にiPhoneのPassbookを利用したので、その際のメモを記録しておこう。今ひとつ利用機会が少ないPassbookの使い方の参考にしていただければ幸いだ。iOS7にアップグレードしたiPhone4を使用した。 Passbo…

黒蜥蜴

マイベストソング2013〈今年の1曲でiTunes Cardを当てよう! 私のマイベストソング2013♪〉 映画「黒蜥蜴」/ "Black Lizard" - 丸山(美輪)明宏 明智小五郎 OP/ED ... 今年(2013年)の始めごろ、池袋の新文芸坐が深作欣二監督の没後10年を記念して、深作作品を…

女囚さそり 第41雑居房

「女囚さそり 第41雑居房」(伊藤俊也監督・1972年東映)は「女囚701号 さそり」のヒットを受けて作られたシリーズ第二作。 「女囚さそり」4部作は女優梶芽衣子のイメージを決定づけたシリーズでもあり、同年に結婚引退した「緋牡丹お竜」こと藤純子に代わる新…

白木万理

録画したまま放ってあった「必殺! THE HISSATSU」(貞永方久監督・1984年松竹)と「赤い夕陽の渡り鳥」(斎藤武市監督・1960年日活)を続けて見る。 前者はテレビ朝日系列の人気時代劇の映画化、後者は日活アクション全盛期の和製西部劇で、内容もスタッフも全く…

土曜は寅さん!(4)

「男はつらいよ」シリーズ第5作「男はつらいよ 望郷篇」1970〔昭和45〕年。 むかし世話になった政吉親分が危篤だと聞きつけ、すぐにも札幌の政吉の許へと駆けつけようとする寅次郎だが、先立つ旅費がない。金を借りようにもとらやのおいちゃんは雲隠れ、帝釈…

連想読書

勤労感謝の日の先週末から週明けにかけて、5冊ばかり本を読んで過ごした。 会計用語でいうところの「後入れ先出し法」ーーつまりいちばん最近買ったものから読み始めるーーで本を読むクセが自分にはあって、買ったはいいがつい読み始めるチャンスを失したた…

良いことを毎日3つ書くと幸せになれるか?

RIETI - 良いことを毎日3つ書くと幸せになれるか? ペンシルバニア大学のセリグマン教授らが提唱したポジティブ心理学において、人々がどうしたらもっと幸せになれるかの研究が行われている。セリグマンらの研究では、毎晩寝る前に良いことを3つ書くことを1…

東野英治郎

東野英治郎の話をもう少し。 先日逝去した作家・山崎豊子の生涯を取り上げた2013年11月19日のNHKクローズアップ現代では、「『大地の子』で国民的作家の地位を不動のものにした山崎さん・・・」というナレーションが入っていた。「大地の子」を映像化したNHK…

土曜は寅さん!(3)

シリーズ2作目「続・男はつらいよ」(1969(昭和43))に、寅次郎のかつての恩師、坪内散歩(東野英治郎)という人物が登場する。かつて悪童寅次郎にゲンコツを食らわせた坪内先生は、いまは隠居して自宅で英語塾を開いているという役どころ。 坪内先生を演じる東…

大阪ど根性物語 どえらい奴

きのう、なぜ日本の起業家の生涯は映画にならないのかというエントリを書いた後で思い出したことがあった。 起業家の映画がポピュラーにならないのは、おそらく、事業を興して財をなす人が尊敬の対象にならない風土があるからだが、例外もある。浪速の商人(…

なぜ日本の起業家の生涯は映画にならないのか

三菱村といわれる、東京丸の内の一角を用事で歩いて一休みしていたとき、ふと思った。 「これだけ立派な企業王国を作り上げた人物なのに、なぜ自分は岩崎弥太郎の生涯を知らないのだろうか?」 岩崎弥太郎を知らないのは、単純に岩崎の生涯を描いた映画を見…

波止場の鷹

石原裕次郎という俳優を知ったのはテレビドラマ「太陽にほえろ!」での刑事課長=「ボス」役からで、すでにその頃の石原の顔にはふっくらとした丸みが出ていた。だから石原のずっと若い頃、「狂った果実」をはじめとする作品での、育ちの良さと精悍さの両方を…

お金と手間をかけずに画像編集

私の節約術「セツヤクエスト」 きのうのエントリでアップロードしたポイントカードの画像は、このように作成した。 ポイントカードをショットノートの罫線に合わせて置き、専用のiPhoneアプリで写真を撮る。これで大体の傾きは補正される。手許にあったショ…

名画座のポイントカード

私の節約術「セツヤクエスト」 名画座と言われる、旧作中心の映画館の入場料はロードショー館やシネコンより安いが、それでも一回1000円から1200円ぐらいする。どの映画館も20本から30本ぐらいの作品で1週間から1ヶ月前後の特集企画——たとえば小津安二郎特集…

女囚101 しゃぶる

小原宏裕監督の1977年のロマンポルノ作品。ストーリーは刑務所での日常と回想シーンが交互に展開する。(ネタバレ注意) 小さなバーのママ珠江(谷ナオミ)は、ある日、店の前の通りで怪我をした流しの歌手・ケン(村川達夫)を自室で懐抱するうちにやがて深い仲に…

美保純

NHK連続テレビ小説「あまちゃん」を見ていたとき、データ放送でキャストのプロフィルを一つ一つ観ていたら、物語の舞台である北三陸袖ヶ浜の海女のひとり、熊谷美寿々を演じる美保純のプロフィルが「映画でデビュー」としか触れられていなかったのが少し気に…

フーテンの寅さんは反社会的勢力か

みずほ銀行の暴力団関係者への融資問題の第三者委員会報告書を、企業コンプライアンスの第一人者である郷原信郎弁護士は「銀行側の言い分を当たり障りなくなぞり、一方で、表面的な批判をしたに過ぎなかった」と厳しく批判している。 みずほ問題の本質は、銀…

土曜は寅さん!(2)

シリーズ第1作「男はつらいよ」は、寅次郎(渥美清)の20年ぶりの柴又への帰郷と叔父夫婦との再会にはじまり、異母妹・さくら(倍賞千恵子)の縁談、印刷工・諏訪博(前田吟)とさくらの結婚、結婚式での博と父(志村喬)の和解を経た後、幼なじみで柴又帝釈天の御前…

土下座に名場面はない

土下座みたいなものが流行するのか。流行があるなら廃れもあるはず。早々に廃れていただきたい。2013年10月26日ヨミウリオンラインの記事。 土下座、危ないブーム…映画や漫画シーン度々 - ライブドアニュース 自分は記憶力が悪い、と前置きしつつ言うと、覚…

円谷英二

2013年10月23日のNHKニュース。円谷プロの関係者宅から「ウルトラマン」のNGフィルムが見つかったという。 ウルトラマンの「NG映像」発見 NHKニュース このニュースのオチは、今回発見されたNG映像は近々発売の「ウルトラマン」Blu-rayボックスに収録予定…

土曜は寅さん!(1)

今週のお題「秋の新番組」 TV東京系列のBSジャパンで「土曜は寅さん!」という新番組が始まった。 タイトル通り、1969年にはじまる「男はつらいよ」シリーズ全48作を週一本、約1年掛けて全作放送するのだという。 渥美清の急死で突然の終止符を迎えてから既…