トーキョーナガレモノ

日本映画の旧作の感想。でもそのうち余計なことを書き出すだろう。

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2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】世直しとしての地震 — アウエハント『鯰絵』

1855(安政2)年旧暦10月2日夜10時頃、江戸を推定マグニチュード6.3の大地震が襲った。被災者の正確な統計はないものの、死者数千人、家屋倒壊1万数千軒、各地で火災が発生したと推定される。後代、安政大地震と呼ばれる地震である。 地震から数日も経たないう…

メカゴジラの逆襲

本多猪四郎は1993年に81歳で他界するが、監督作品としては「メカゴジラの逆襲」(1975年東宝)が最後となり、結果的にこの作品が本多の遺作となった。また東宝は、本作の興行的な失敗のため「ゴジラ」(1954年東宝)以来20年を経過しマンネリ化していた怪獣映画…

「フクシマ」後のゴジラ

東京・神保町の神保町シアターでゴジラ誕生60周年と新作映画の公開を記念して「ゴジラ映画総進撃」特集を開催している。第1作「ゴジラ」(本多猪四郎監督・1954年東宝)から「ゴジラFINAL WARS」(北村龍平監督・2004年東宝)まで全28本を連続して上映している。…

昼下りの情事 変身

涼子(青山美代子)はごく普通の会社の秘書課に勤めるOLだったが、病弱な父親と幼い弟妹を養うためスナックで夜のアルバイトをしていた。会社から帰ると、またアルバイトに出かける毎日。 アルバイトに出る道すがら、商店街の花屋で花を買っていくのが涼子の日…

現代っ子

居間の鴨居に、額に入れた三枚の表彰状が掲げてある。 「行ってきまーす!」長男のやすし(鈴木やすし)が飛び出すと、真ん中の表彰状がずり落ちてしまう。表彰状を直して、やすしは学校に向かう。 「行ってきまーす!」長女のチコ(中山千夏)が次に飛び出すと…

実録阿部定

彼女のモノローグから、映画は始まる。 あたしは、自分でも数え切れないくらいたくさんの名前を使ってきました。 彼女はいちいち憶えてはいられないほど数十個の偽名を丁寧に一つ一つ挙げ、 でも吉蔵さんが死んで、やっと本当の名前、定に戻ることができたの…

土曜は寅さん!(8): 男はつらいよ 寅次郎純情詩集

ヒロインが不治の病で死ぬというストーリーは喜劇にはあまりないと思うが、「男はつらいよ」シリーズ第18作「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」(山田洋次監督・1976年松竹)ではマドンナ、柳生綾(京マチ子)の死によって寅次郞の恋が唐突に終わりを告げる異色の展…