トーキョーナガレモノ

日本映画の旧作の感想。でもそのうち余計なことを書き出すだろう。

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2015-01-01から1年間の記事一覧

プログラミング本に人生を影響されたっていいじゃないか

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」 去年の夏はフィルムセンターで毎日のように増村保造のメロドラマを観ていたのに、今年の夏はほとんど映画を観ることができなかった。 きっかけはこの本だった。 プログラマのためのコードパズル ?JavaScriptで挑むコー…

最前線物語

「気狂いピエロ」(Pierrot le Fou, ジャン=リュック・ゴダール監督・1965年フランス)を見たという人も今ではもう少ないだろうと思うので、この作品に本人役で出演したサミュエル・フラーの有名な言葉を引用しておくのは無駄ではないだろう。 映画は戦場のよ…

追悼・打本親分

加藤武が亡くなった。古い邦画のファンには残念なことだ。 俳優の加藤武さん死去 「犬神家の一族」で警察官役:朝日新聞デジタル ああ惜しい。昭和の邦画を代表する名脇役。「月曜日のユカ」の加賀まりこのパトロン、「仁義なき戦い・代理戦争」のヘタレ親分…

誇り高き挑戦

昔のことを蒸し返す奴はけむたがれるのが普通だ。 しかし深作欣二のいくつかの作品では、昔のことは忘れたという奴が悪役に回る。「仁義なき戦い」(1973)の終盤、広能昌三(菅原文太)が狡猾な親分山守義男(金子信雄)に絶縁を言い渡す場面。広能は山守の腰巾着…

内戦終結後のカンボジアでクソガキとサムライスピリッツをプレイした話

今週のお題「ゲーム大好き」 クーロン黒沢は「電脳アジアコピー天国」(秀和システム1993年・絶版)でアジア各国のゲーム事情を面白おかしく紹介している。90年代前半のアジアのゲーム市場はアーケード用・家庭用ともに日本製品のコピーでほぼ席巻されていたと…

人斬り与太 狂犬三兄弟

ラーメンにのせるチャーシューは一、二枚の方がいい。 そのほうが丼の小さな世界におけるチャーシューの希少価値を高めるし、どのタイミングで食べるかっていう作戦を立てるのも、じっくり味わうのも楽しい。一杯のラーメンにおけるチャーシューの存在意義は…

乾いた花

元ヤクザの親分で俳優の安藤昇のインタビュー「映画俳優安藤昇」(ワイズ出版)を読んでいたら、こんな発言があった。 大体、博打というのはスリルがあるから面白い。金は命から二番目に大切なものだろう。にもかかわらず、それをオモチャにするのだから、これ…

ある東大生の遺書

彼の名前を仮にN君としておこう。 1977年1月17日午後11時頃、東京大学本郷キャンパスの三四郎池の藤棚で、法学部4年生のN君は首をつった。N君のジャンパーにはレポート用紙3枚に長文の遺書が書かれており、それには次のようなことが書いてあった。 一見する…

まむしの兄弟 恐喝三億円

「兄貴、3億の半分言うたらなんぼや?」「アホウ、そないなこともわからんのけ。1500万やがな」 神戸・新開地の「一度食いついたら死んでも離さない」まむしことゴロ政(菅原文太)と勝(川地民夫)のチンピラコンビが暴れ回る「まむしの兄弟」シリーズの6作目「…

愛に濡れたわたし

港町、雷雨の夜。ずぶ濡れの京平(石津康彦)が雨宿りにバーに駆け込む場面から映画は始まる。客もなく、有線放送で森進一の「港町ブルース」が流れるだけの小さな店。カウンターには愛想のないママの美和(宮下順子)ただ一人。二人はそれがさも当然であるかの…

みな殺しの霊歌

有閑マダムが、次々と殺される事件が起きる。被害者の共通点は、ある日マンションの一室で麻雀をしていたことだけ。麻雀仲間は五人。次の被害者が出るおそれが高い。だが警察の捜査は難航する。 新宿、とある大衆食堂。雨で客も来ない。店じまいをしかけてい…

若さま侍捕物帳 黒い椿

娯楽映画にはある種のルールがあり、そのルールは観客から作品への「期待」と、作品から観客への「サービス」(それがたとえ社会規範や倫理に反するものであっても)からなる。作品が観客との間に交わしたこの約束を忠実に履行することが、先品の成功を左右…

菅原文太とイスラム過激派

池袋の新文芸坐で開催中の菅原文太追悼上映では、文太が1974年に吹き込んだアルバム「菅原文太 男の詩 旅立ち 放浪」が休憩時間に流れている。 菅原文太 男の詩 旅立ち 放浪 アーティスト: 菅原文太 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ 発売…

日活の黄金期を彩った歌声

ゆく年くる年2015「貼り付け機能でプレゼントキャンペーン」 あとで買おうと思っている商品の備忘録代わりにAmazonウィッシュリストを使っているのだが、何年もウィッシュリストに残りっぱなしのものも少なくない。 その一つがこれ。2012年に日活の創立100周…