トーキョーナガレモノ

日本映画の旧作の感想。でもそのうち余計なことを書き出すだろう。

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男はつらいよ

寅さん漬け

とっくに放送は終わっているんだが、録画しっぱなしで半年以上見ていなかったBSジャパン「土曜は寅さん!」を数日かけて12本まとめて見た。第24作「男はつらいよ 寅次郞春の夢」(山田洋次監督・1979年松竹)から第36作「男はつらいよ 柴又より愛をこめて」(同…

土曜は寅さん!(8): 男はつらいよ 寅次郎純情詩集

ヒロインが不治の病で死ぬというストーリーは喜劇にはあまりないと思うが、「男はつらいよ」シリーズ第18作「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」(山田洋次監督・1976年松竹)ではマドンナ、柳生綾(京マチ子)の死によって寅次郞の恋が唐突に終わりを告げる異色の展…

土曜は寅さん!(7): 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

2020年夏季オリンピックの東京招致の決め手になったのが、滝川クリステルのプレゼンテーションで披露した「おもてなし」という言葉。2013年の流行語にもなったが、もてなすことの本質とは何だろうか。 男はつらいよシリーズ第17作「男はつらいよ 寅次郎夕焼…

土曜は寅さん!(6): 男はつらいよ 純情篇(その2)

(承前) 夕子(若尾文子)はとらやまで迎えに来た夫と共に出直すことを決意し、柴又を去って行く。寅次郎もまた、振られたその日のうちに柴又駅のプラットホームに立つ。見送りきたさくらと、ベンチで電車を待っている。 さくら ねえお兄ちゃん、もうお正月も近…

土曜は寅さん!(6): 男はつらいよ 純情篇(その1)

寅次郎にはまわりくどい言い回しが通用しない。言葉を言葉通りに受け取る人である。 今ならちょっとお医者さんに診てもらいましょうということになるのかもしれないが、「男はつらいよ」の世界ではとらやのおいちゃん(森川信)の口癖「バカだねあいつは」で済…

土曜は寅さん!(5): 男はつらいよ 奮闘篇

春。まだ雪残る新潟の山間部・越後広瀬駅の待合室から「男はつらいよ」シリーズ第7作「男はつらいよ 奮闘篇」(山田洋次監督・1971年松竹)は始まる。 待合室では就職のため上京してゆく学生服姿の少年少女たちと、その母親たちがストーブの暖を取っている。そ…

土曜は寅さん!(4)

「男はつらいよ」シリーズ第5作「男はつらいよ 望郷篇」1970〔昭和45〕年。 むかし世話になった政吉親分が危篤だと聞きつけ、すぐにも札幌の政吉の許へと駆けつけようとする寅次郎だが、先立つ旅費がない。金を借りようにもとらやのおいちゃんは雲隠れ、帝釈…

土曜は寅さん!(3)

シリーズ2作目「続・男はつらいよ」(1969(昭和43))に、寅次郎のかつての恩師、坪内散歩(東野英治郎)という人物が登場する。かつて悪童寅次郎にゲンコツを食らわせた坪内先生は、いまは隠居して自宅で英語塾を開いているという役どころ。 坪内先生を演じる東…

フーテンの寅さんは反社会的勢力か

みずほ銀行の暴力団関係者への融資問題の第三者委員会報告書を、企業コンプライアンスの第一人者である郷原信郎弁護士は「銀行側の言い分を当たり障りなくなぞり、一方で、表面的な批判をしたに過ぎなかった」と厳しく批判している。 みずほ問題の本質は、銀…

土曜は寅さん!(2)

シリーズ第1作「男はつらいよ」は、寅次郎(渥美清)の20年ぶりの柴又への帰郷と叔父夫婦との再会にはじまり、異母妹・さくら(倍賞千恵子)の縁談、印刷工・諏訪博(前田吟)とさくらの結婚、結婚式での博と父(志村喬)の和解を経た後、幼なじみで柴又帝釈天の御前…

土曜は寅さん!(1)

今週のお題「秋の新番組」 TV東京系列のBSジャパンで「土曜は寅さん!」という新番組が始まった。 タイトル通り、1969年にはじまる「男はつらいよ」シリーズ全48作を週一本、約1年掛けて全作放送するのだという。 渥美清の急死で突然の終止符を迎えてから既…