トーキョーナガレモノ

日本映画の旧作の感想。でもそのうち余計なことを書き出すだろう。

注意)本・DVDなどへのリンクはAmazonのアフィリンクです。ご了承下さい。過去記事一覧はこちらです。

セーラー服鑑別所

Dr.スランプのアラレちゃんをマネして「キーーーン」をやりながら校門をくぐったら、学校が鑑別所になっていた。

 「セーラー服鑑別所」(川崎善広監督・1982年日活)はそんな不条理なシチュエーションから幕を開ける。ミヨコ(美保純)とヨーコ(中川みず穂)の仲良しヤリマン女子高生コンビは、ラグビー部の部室を改造した牢屋に押し込められる。

 

ほかの女子生徒らと体育館に引っ張り出されたミヨコとヨーコは、私服を剥ぎ取られセーラー服に無理矢理着替えさせられる。

 

全てを仕切っているのは体育教師の水谷先生(平瀬りえ)。水谷先生は制服を自由化してから校内暴力が激しくなったこの聖愛学園に、規律を取り戻すのだと宣言する。ついでに女だてらの空手の板割りも披露して、反抗する生徒は容赦なく押さえつける。男性教師と運動部の男子を味方につけ、女子生徒を徹底的に弾圧する水谷先生に生徒は次々と陥落し、服従の誓約書を書かされる。残るのはミヨコとヨーコ、それにガリ勉トリオの郁子(山口千枝)ら5人のみになった。

 

水谷先生が女子生徒を敵視するのには理由があった。ある日不良グループに襲われ恥ずかしい写真を撮られたとき、現場に女生徒のものらしき下着が落ちていたからだ。写真のネガは写真部の山田(堀広道)に回収してもらったものの、水谷先生の豹変の本当の目的は、自分を辱めた生徒を炙り出すことにあったのだ。

 

ミヨコの手引きで鑑別所をこっそり抜け出した郁子は、自宅で見知らぬ女とセックスしている父の姿を目撃してしまう。結婚を迫るその女に対して、郁子の父は、別の女にしつこくされているから、手を回して強姦させたと口を滑らせてしまう。その被害者こそ水谷先生、スポーツ用品の仕入業者として学校に出入りしているうちに郁子の父は水谷先生とできてしまったが、汚い手を使って別れようとしていたのだ。そしてその手駒として動いていたのが、いかにも優等生風の写真部山田だった。

 

全ての真相を知った女生徒5人と水谷先生は、てはじめに郁子の父をとっちめに出向くが、その時父は例の女に騙され逃げられたあとだった。振り上げた拳を一旦は引っ込めたものの、許せない奴はもう一人いる。

 

ミヨコは部室の牢屋に山田を招き、ベッドに誘うが、その時背後からアッチ系の教師・岡田が飛び出してきてオカマを掘らせ、仕返しを成し遂げる。

 


 

「ピンクのカーテン」でブレイクする直前の美保純のロマンポルノ作品。所属事務所のプロフィルでは『1981年、にっかつロマンポルノ「制服・処女のいたみ」でデビュー』と記載しているが、これは現代映像企画という別のピンク映画会社が製作し、配給のみ日活が手がけた作品である(http://www.japanese-cinema-db.jp/Details?id=18385)。まあ見ていないわけだが。日活では「宇野鴻一郞の濡れて騎る」「看護婦日記 獣じみた午後」に続いて3作目、日活での主演作としては最初である。この時21歳。だがカワイイ系のルックスとカラッとした雰囲気で、この学園コメディの女子高生役を自然に演じきっている。

 

青春ものというジャンルは「青い山脈」以来の長い伝統があり、何より全盛期の日活は青春映画を得意ジャンルの一つとしてきた。80年代初頭に青春映画は多様性を求めて発展してゆくが、それを担ったのが美保と同じ「あまちゃんファミリー」尾美としのりの「転校生」であったり、薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」であったりした。それらと公開時期をほぼ同じくする「セーラー服鑑別所」もそのロマンポルノ的な系譜と言えるだろう。 

美保純の関連記事
Dr.スランプ (第1巻) (ジャンプ・コミックス)

Dr.スランプ (第1巻) (ジャンプ・コミックス)

 

ブログトップに戻る